思い出のしょうゆ豆
香川県の郷土料理の一つにしょうゆ豆という料理がある。
そら豆をしょうゆや砂糖で甘辛く味付けしたもので、ご飯にもぴったりのおかずである。
私自身は大阪出身だが、祖父母は香川出身で
祖父母の家で過ごすことが多かった幼少期によく香川の郷土料理を食べていた。
香川といえばうどんだが、
讃岐うどんは某うどんチェーン店などで手軽に食べられるからあまり思い出の味とは言えない。
まあ、うどんは讃岐うどん一択なんだけど。
先程触れたように近所に祖父母が住んでいたので、
祖父母は共働きの両親に代わって両親以上に長い間面倒をみてくれた。
作ってくれる料理はハンバーグなど一般的なものがほとんどだった。
料理上手な祖母だったので、当時一番好きだった食べ物は祖母の手料理だった。
そんな祖母でも、しょうゆ豆は百貨店で買ってきたものを振舞っていた。
甘辛くて、優しい味。
祖母の手料理と同じくらい好きだった。
祖母が亡くなってから2年が経った。
祖母の手料理は、ハンバーグ一つとっても再現し得ない味で二度と食べることができない。
料理を作れない体になったのはもっと前。
最後に祖母の料理を食べたのはいつだっただろう。最後に食べた料理はなんだっただろう。
祖母のことを思い出すと、祖母の手料理が恋しくなる。
思い出の味はもう二度と食べられないのか。
そう思っていた。
法事で祖母の兄弟にあった時、お供えでしょうゆ豆をもらった。
祖母が買っていたものと同じ銘柄だった。
食べると、口の中がタイムスリップしたような気分になりとても懐かしい気分になった。
思い出の味はまだなくなってなかったことを知り、
嬉しさと懐かしさで少し涙が出た。